「黄金(豊かさ)が雨のように降り注ぐ讃歌」|Kanakadhara Stotram(カナカダーラ・ストートラ)

「黄金(豊かさ)が雨のように降り注ぐ讃歌」|Kanakadhara Stotram(カナカダーラ・ストートラム)
目次

Kanakadhara Stotram(カナカダーラ・ストートラ)とは?

女神ラクシュミー

女神ラクシュミー

Kanakadhara Stotram(カナカダーラ・ストートラ)は、女神ラクシュミー(富と繁栄の女神)を讃える全22偈のサンスクリットの讃歌です。

作と伝えられるのは、インド思想史における大聖者 アーディ・シャンカラーチャーリヤ です。

  • Kanaka(カナカ):黄金・富
  • Dhārā(ダーラ):流れ・雨
  • Stotram(ストートラ):讃歌

👉 「黄金(豊かさ)が雨のように降り注ぐ讃歌」という意味になります。

カナカダーラ・ストートラの音源

カナカダーラ・ストートラの逸話

 アーディ・シャンカラーチャーリヤ

アーディ・シャンカラーチャーリヤ

昔、若き遍歴僧であった アーディ・シャンカラーチャーリヤ は、托鉢のためにある家を訪れました。

その家に住んでいたのは、
極度の貧困の中で暮らす一人の老婦人でした。

彼女の家には、
食べ物も財産もほとんど残っていませんでした。

それでも老婦人は、
家の中を探し、唯一残っていた アムラ(木の実)を一粒見つけます。

そしてその一粒を、
何の迷いもなく、深い敬意をもってシャンカラに差し出しました。

その姿を見たシャンカラは、
老婦人の無欲と純粋な施しの心に深く心を打たれます。

彼はその場で、
女神ラクシュミーに向かって讃歌を詠み始めました。

それが Kanakadhara Stotram です。

伝承によれば、
その祈りにより、女神ラクシュミーは慈悲を示し、
黄金が雨のように降り注いだとされています。

老婦人の貧しさは癒やされ、
生活に必要な豊かさが与えられたと伝えられています。

カナカダーラ・ストートラの全22偈の

第1偈

原文(IAST)

aṅgaṁ hareḥ pulaka-bhūṣaṇam āśrayantī  
bhṛṅgāṅganā iva mukhābja-viśeṣa-hāsā  
tvaṁ padma-hāsini! karuṇāṁ kṛpayā vidhatse  
kanakadhārā-stavam īśvarim ādiśantaḥ

語義(逐語)

サンスクリット語義
aṅgam身体
hareḥハリ(ヴィシュヌ)の
pulaka喜悦による戦慄
bhūṣaṇam装身具
āśrayantī寄り添っている
bhṛṅga-aṅganā雌の蜜蜂
iva~のように
mukha-abja蓮華の顔
viśeṣa-hāsā特別な微笑をもつ
tvamあなたは
padma-hāsini蓮の微笑をもつ女神よ
karuṇām慈悲を
kṛpayā憐れみによって
vidhatse与える
kanaka-dhārā黄金の流れ
stavam讃歌
īśvarim女神に
ādiśantaḥ授けた/示した

完全逐語対応訳(語順尊重)

蓮のような微笑をもつ女神よ。
あなたは、
ヴィシュヌの身体に
喜悦の戦慄という装身具として寄り添い、
蓮華の顔に特別な微笑を浮かべ、
蜜蜂が花に集うようにそこに在ります。

そのあなたが、
憐れみによって慈悲を与え、
女神よ、
黄金の流れの讃歌を授けたまうのです。


第2偈

原文(IAST)

mugdhā muhur vidadhāti vadane murāreḥ  
prematrāpa-praṇihitāni gatāgatāni  
mālā-dṛśor madhukara iva mahotsave śrīḥ  
kanakadhārā-stavam īśvarim ādiśantaḥ

語義(逐語)

サンスクリット語義
mugdhā無垢なる/愛らしい
muhuḥ何度も
vidadhāti向ける
vadane顔へ
murāreḥムラ(魔)を滅ぼす者(ヴィシュヌ)の
prema
trāpa恥じらい
praṇihitāni注がれた
gata-āgatāni行き来する
mālā-dṛśoḥ眼差しの花輪
madhukaraḥ蜜蜂
iva~のように
mahotsave大いなる祭儀において
śrīḥシュリー女神(ラクシュミー)
kanaka-dhārā-stavam黄金の流れの讃歌
īśvarim女神に
ādiśantaḥ授けた

完全逐語対応訳

無垢なる女神シュリーは、
ムラを滅ぼす者(ヴィシュヌ)の御顔へ、
愛と恥じらいに満ちた眼差しを
何度も、行き来させながら向けておられます。

それは、
大いなる祭儀の中で
蜜蜂が花輪を巡るようであり、
その女神が
黄金の流れの讃歌を授けたまうのです。


第3偈

原文(IAST)

āmīlitākṣam adhigamya mudā mukundam  
ānanda-kanda-manimegha-payodharābhām  
lokasya pāvana-padāmbuja-mūrdhnī dadhyāt  
kanakadhārā-stavam īśvarim ādiśantaḥ

語義(逐語)

サンスクリット語義
āmīlita-akṣam伏せた眼をもつ
adhigamya近づいて
mudā喜びとともに
mukundamムクンダ(解脱を与える者)
ānanda-kanda至福の源
mani-megha宝石の雲
payodhara乳房
ābhām輝きをもつ
lokasya世界の
pāvana浄化する
pada-ambuja蓮華の御足
mūrdhni頭上に
dadhyāt置く
kanaka-dhārā-stavam黄金の流れの讃歌
īśvarim女神に
ādiśantaḥ授けた

完全逐語対応訳

眼を伏せ、
喜びとともに
解脱を与えるムクンダに近づく女神は、
至福を源とする宝石の雲のような
輝く乳房をもち、

世界を浄める蓮華の御足を
人々の頭上に置き、
黄金の流れの讃歌を授けたまうのです。

第4偈

原文(IAST)

bahvantarāṁ jagati tān anukampamānāṁ  
padmālayāṁ paripūrṇa-jagannivāsām  
viśveśvarīṁ nikhila-sattva-dayāṁ dadhānām  
kanakadhārā-stavam īśvarim ādiśantaḥ

語義(逐語)

サンスクリット語義
bahu-antarām多くの内部(存在)に
jagati世界において
tānそれらの者たちを
anukampamānām憐れみをもって見守る
padma-ālayām蓮を住処とする
paripūrṇa満たされた
jagat-nivāsām宇宙を住処とする
viśva-īśvarīm世界の主なる女神を
nikhilaすべての
sattva生きとし生ける存在
dayām慈悲を
dadhānām保持する
kanaka-dhārā-stavam黄金の流れの讃歌
īśvarim女神に
ādiśantaḥ授けた

完全逐語対応訳

世界において、
多くの存在の内奥にまで目を向け、
それらすべてを憐れみ深く見守るお方、

蓮を住処とし、
宇宙そのものを満たし、住まいとする、
世界の主たる女神、

あらゆる生きものに慈悲を宿すその女神が、
黄金の流れの讃歌を授けたまうのです。


第5偈

原文(IAST)

kāśmīra-puṣpa-sama-candana-lepa-bhāsāṁ  
kastūrikā-kuṅkuma-digdhitayā viliptām  
padmālayāṁ paripūrṇa-jagannivāsām  
kanakadhārā-stavam īśvarim ādiśantaḥ

語義(逐語)

サンスクリット語義
kāśmīra-puṣpa-samaカシミールの花のような
candana白檀
lepa塗布
bhāsām輝きをもつ
kastūrikā麝香
kuṅkuma紅花
digdhitayā塗られて
viliptām飾られた
padma-ālayām蓮を住処とする女神
paripūrṇa満ち満ちた
jagat-nivāsām宇宙を住処とする
kanaka-dhārā-stavam黄金の流れの讃歌
īśvarim女神に
ādiśantaḥ授けた

完全逐語対応訳

カシミールの花のように繊細に輝く白檀を身にまとい、
麝香と紅花によって塗り清められ、
芳香と光彩に満ちた女神、

蓮を住処とし、
宇宙全体を満たして住まうその女神が、
黄金の流れの讃歌を授けたまうのです。


第6偈

原文(IAST)

aṅgī-kṛtākhila-vibhūtir apāṅga-līlā  
māṅgalya-dāstu mama maṅgala-devatāyāḥ  
yad-bhṛtyāḥ sukṛtino bhajanti padam  
kanakadhārā-stavam īśvarim ādiśantaḥ

語義(逐語)

サンスクリット語義
aṅgī-kṛta取り込まれた
akhilaすべての
vibhūtiḥ栄光・繁栄
apāṅga横目・一瞥
līlā戯れ
māṅgalya-dā吉祥を与える
astuあれ
mama私の
maṅgala-devatāyāḥ吉祥の女神の
yatその
bhṛtyāḥ従者たちが
sukṛtinaḥ功徳ある者として
bhajanti崇拝する
padam御足・境地
kanaka-dhārā-stavam黄金の流れの讃歌
īśvarim女神に
ādiśantaḥ授けた

完全逐語対応訳

その一瞥の戯れの中に、
あらゆる繁栄を取り込んでおられる女神、

私の吉祥の女神よ、
あなたの横目の慈悲が
吉兆を与えるものでありますように。

その御足を、
功徳ある従者たちが崇めるその女神が、
黄金の流れの讃歌を授けたまうのです。

第7偈

原文(IAST)

kalāmbudālī-lalitoru-kaṭākṣa-vīkṣā  
viśvāmarendra-pada-vibhrama-dāna-dakṣā  
śrīr astu me jayakarī jagadīśvarīyāḥ  
kanakadhārā-stavam īśvarim ādiśantaḥ

語義(逐語)

サンスクリット語義
kalā微細な・部分的な
ambuda
ālī群れ
lalita優美な
uru広がりのある・豊かな
kaṭākṣa横目・一瞥
vīkṣā視線
viśva全世界の
amara神々
indra
pada位・地位
vibhrama栄華・威光
dāna授与
dakṣā巧みな
śrīḥシュリー女神(ラクシュミー)
astuあれ・ありますように
me私に
jaya-karī勝利をもたらす
jagat世界
īśvarīyāḥ女主の
kanaka黄金
dhārā流れ
stavam讃歌
īśvarim女神に
ādiśantaḥ授けた・示した

完全逐語対応訳

雲の群れのように微妙で、
優美かつ広がりのあるその横目のまなざしは、
世界の神々の王たちの地位と栄華を授けることに長けている。

その世界の女主であり、
勝利をもたらすシュリー女神の恩寵が、
私にありますように。

その女神が、
黄金の流れの讃歌を授けたまうのである。


第8偈

原文(IAST)

dig-ghastibhiḥ kanaka-kumbha-mukhāvasṛṣṭa  
svarvāhinī-vimala-cāru-jalaplutāṅgīm  
prātaḥ namāmi jagatāṁ jananīṁ aśeṣa  
kanakadhārā-stavam īśvarim ādiśantaḥ

語義(逐語)

サンスクリット語義
dik方角
gaja
astibhiḥ~によって(具格)
kanaka黄金
kumbha
mukha
avasṛṣṭa流れ出る・注がれる
svarvāhinī天上の河(ガンジス)
vimala清浄な
cāru美しい
jala
pluta満たされた
aṅgīm身体をもつ者(女性形)
prātaḥ朝に
namāmi礼拝する
jagatām諸世界の
jananīm
aśeṣa余すところなく
kanaka黄金
dhārā流れ
stavam讃歌
īśvarim女神に
ādiśantaḥ授けた・示した

完全逐語対応訳

四方を守護する象たちが持つ黄金の壺の口から注がれる、
天上の河の清らかで美しい水によって、
その御身体を満たされた女神。

私は朝ごとに、
あらゆる世界の母であるその女神を礼拝する。

その女神が、
黄金の流れの讃歌を授けたまうのである。


第9偈

原文(IAST)

kāmākṣi-kāma-kalitākṣa-saroruha-śrīḥ  
kalpadrumādi-sukha-dāna-samudyatā śrīḥ  
śrīr astu me kamala-kānta-gṛhe vasantaḥ  
kanakadhārā-stavam īśvarim ādiśantaḥ

語義(逐語)

サンスクリット語義
kāma欲望・願望
akṣi
kāma-kalita愛・欲によって彩られた
akṣa
saroruha
śrīḥ美・繁栄・女神
kalpa-druma如意樹
ādiなど
sukha幸福
dāna授与
samudyatā常に働く・専心する
kamala
kānta愛し主(ヴィシュヌ)
gṛhe住処に
vasantāḥ住まう
kanaka黄金
dhārā流れ
stavam讃歌
īśvarim女神に
ādiśantaḥ授けた・示した

完全逐語対応訳

欲望を成就させる眼をもち、
愛によって彩られた蓮華のような眼差しの美を備え、
如意樹などのごとく幸福を与えることに常に専心する女神。

蓮華の愛し主の住処に住まうその女神の恩寵が、
私にありますように。

その女神が、
黄金の流れの讃歌を授けたまうのである。

第10偈

原文(IAST)

gaurī-nanāgaja-kumbha-mukha-āvasṛṣṭa  
gaṅgā-jalāmṛta-sañcita-māṅgalāṅgīm  
śrīr astu me kamala-kānta-gṛhe vasantaḥ  
kanakadhārā-stavam īśvarim ādiśantaḥ

語義(逐語)

サンスクリット語義
gaurīガウリー(パールヴァティー)
nanā-gaja多くの象
kumbha
mukha
āvasṛṣṭa流れ出た
gaṅgāガンジス
jala
amṛta甘露
sañcita集められた
māṅgala吉祥
aṅgīm身体をもつ者(女性形)
śrīḥシュリー女神(ラクシュミー)
astuあれ・ありますように
me私に
kamala
kānta愛し主(ヴィシュヌ)
gṛhe住処に
vasantāḥ住まう
kanaka黄金
dhārā流れ
stavam讃歌
īśvarim女神に
ādiśantaḥ授けた・示した

完全逐語対応訳

ガウリーに属する多くの象の壺の口から流れ出た、
ガンジスの水という甘露によって満たされた、
吉祥なる身体をもつ女神。

蓮華の愛し主の住処に住まうそのシュリー女神の恩寵が、
私にありますように。

その女神が、
黄金の流れの讃歌を授けたまうのである。


第11偈

原文(IAST)

śrī-vatsa-lāñchana-pāda-pīṭha-saṁsthāṁ  
śrī-devatāṁ sakala-loka-nivāsa-hetum  
śrīr astu me kamala-kānta-gṛhe vasantaḥ  
kanakadhārā-stavam īśvarim ādiśantaḥ

語義(逐語)

サンスクリット語義
śrī-vatsaシュリーヴァツァ(吉祥の印)
lāñchana
pāda
pīṭha台座
saṁsthām据えられた
śrī-devatāmシュリー女神を
sakalaすべての
loka世界
nivāsa居住
hetum原因・根拠
śrīḥ恩寵・繁栄
astuあれ
me私に
kamala
kānta愛し主
gṛhe住処に
vasantāḥ住まう
kanaka黄金
dhārā流れ
stavam讃歌
īśvarim女神に
ādiśantaḥ授けた

完全逐語対応訳

シュリーヴァツァの印をもつ御足の台座に据えられ、
すべての世界の住処の根源であるシュリー女神。

蓮華の愛し主の住処に住まうその女神の恩寵が、
私にありますように。

その女神が、
黄金の流れの讃歌を授けたまうのである。


第12偈

原文(IAST)

nīlāmbujasya yugalasya nikhila-saukhya-  
prāptiṁ karoti bhuvanaika-nidhāna-bhūtām  
śrīr astu me kamala-kānta-gṛhe vasantaḥ  
kanakadhārā-stavam īśvarim ādiśantaḥ

語義(逐語)

サンスクリット語義
nīla青い
ambuja
yugalasya一対の
nikhilaすべての
saukhya幸福
prāptim獲得
karotiもたらす
bhuvana世界
eka唯一の
nidhāna宝蔵
bhūtām存在となった
śrīḥ繁栄・恩寵
astuあれ
me私に
kamala
kānta愛し主
gṛhe住処に
vasantāḥ住まう
kanaka黄金
dhārā流れ
stavam讃歌
īśvarim女神に
ādiśantaḥ授けた

完全逐語対応訳

青き蓮華の一対によって、
あらゆる幸福の獲得をもたらし、
世界における唯一の宝蔵となっている女神。

蓮華の愛し主の住処に住まうその女神の恩寵が、
私にありますように。

その女神が、
黄金の流れの讃歌を授けたまうのである。

第13偈

原文(IAST)

svarṇa-hemāmbuja-cāru-caraṇāṁ  
cāru-kirīṭa-maṇi-kuṇḍala-dhāriṇīm  
saundarya-pūrṇa-jagad-eka-nidhāna-bhūtāṁ  
kanakadhārā-stavam īśvarim ādiśantaḥ

語義(逐語)

サンスクリット語義
svarṇa黄金
hema
ambuja
cāru美しい
caraṇām足をもつ女神
cāru美しい
kirīṭa
maṇi宝石
kuṇḍala耳飾り
dhāriṇīm身につける者(女性形)
saundarya
pūrṇa満ちた
jagat世界
eka唯一の
nidhāna宝蔵
bhūtām存在となった
kanaka黄金
dhārā流れ
stavam讃歌
īśvarim女神に
ādiśantaḥ授けた・示した

完全逐語対応訳

黄金の蓮のように美しい御足をもち、
美しい冠と宝石の耳飾りを身につけた女神、

美に満ち、
世界における唯一の宝蔵そのものとなっているその女神が、
黄金の流れの讃歌を授けたまうのである。


第14偈

原文(IAST)

kāntiṁ samarpayati candana-carcitāṅgī  
kalyāṇa-cāru-vadanāṁ kamalālayām tām  
śrīr astu me jagati mātaram ambujākṣīm  
kanakadhārā-stavam īśvarim ādiśantaḥ

語義(逐語)

サンスクリット語義
kāntim輝き
samarpayati与える
candana白檀
carcita塗られた
aṅgī身体をもつ女神
kalyāṇa吉祥
cāru美しい
vadanām顔をもつ
kamala-ālayām蓮を住処とする女神
śrīḥ恩寵・繁栄
astuあれ
me私に
jagati世界において
mātaram母を
ambuja-akṣīm蓮華の眼をもつ女神
kanaka黄金
dhārā流れ
stavam讃歌
īśvarim女神に
ādiśantaḥ授けた

完全逐語対応訳

白檀を塗られた身体によって輝きを放ち、
吉祥にして美しい顔をもつ、
蓮を住処とする女神。

世界における母であり、
蓮華の眼をもつその女神の恩寵が、
私にありますように。

その女神が、
黄金の流れの讃歌を授けたまうのである。


第15偈

原文(IAST)

mūlādhikā-niravadhiṁ karuṇāṁ vahantī  
saundarya-sindhur iva manda-hasāvalokā  
śrīr astu me jagad-eka-mātur apāṅga-līlā  
kanakadhārā-stavam īśvarim ādiśantaḥ

語義(逐語)

サンスクリット語義
mūla根源
adhikā優れた
niravadhiṁ限りなき
karuṇām慈悲
vahantī運ぶ・保つ
saundarya
sindhuḥ
iva~のように
manda穏やかな
hasa微笑
avalokā眼差し
śrīḥ恩寵・繁栄
astuあれ
me私に
jagat世界
eka唯一の
mātuḥ母の
apāṅga横目・一瞥
līlā戯れ
kanaka黄金
dhārā流れ
stavam讃歌
īśvarim女神に
ādiśantaḥ授けた

完全逐語対応訳

根源において優れ、
限りなき慈悲をたたえ、
美の海のようであり、
穏やかな微笑の眼差しをもつ女神。

世界における唯一の母なるその女神の、
横目の戯れという恩寵が、
私にありますように。

その女神が、
黄金の流れの讃歌を授けたまうのである。

第16偈

原文(IAST)

kātyāyanīṁ kamala-kānta-kuṭumba-nīlām  
kalyāṇa-dāṁ kanaka-puṣpa-nibha-prasūnām  
śrīr astu me bhuvana-mātaram ambujākṣīm  
kanakadhārā-stavam īśvarim ādiśantaḥ

語義(逐語)

サンスクリット語義
kātyāyanīmカーティヤーヤニー女神(ラクシュミーの称号)
kamala
kānta愛し主(ヴィシュヌ)
kuṭumba一族・家族
nīlām青き・麗しき
kalyāṇa吉祥
dām与える者
kanaka黄金
puṣpa
nibha~のような
prasūnām花をもつ
śrīḥ恩寵・繁栄
astuあれ
me私に
bhuvana世界
mātaram
ambuja-akṣīm蓮華の眼をもつ
kanaka黄金
dhārā流れ
stavam讃歌
īśvarim女神に
ādiśantaḥ授けた

完全逐語対応訳

カーティヤーヤニーと呼ばれ、
蓮華の愛し主の一族に属する麗しき女神、
吉祥を与え、
黄金の花のような輝きをもつ女神。

世界の母であり、
蓮華の眼をもつその女神の恩寵が、
私にありますように。

その女神が、
黄金の流れの讃歌を授けたまうのである。


第17偈

原文(IAST)

dhatte padāmbuja-yugaṁ hṛdaye sudhīnāṁ  
sampat-karaṁ sakala-bhūti-kṛta-prabhāvam  
śrīr astu me jagati mātur anugrahaḥ syāt  
kanakadhārā-stavam īśvarim ādiśantaḥ

語義(逐語)

サンスクリット語義
dhatte保つ・宿す
pada
ambuja
yugam一対
hṛdaye心の中に
su-dhīnām善き知性をもつ者たちの
sampat繁栄
karamもたらすもの
sakalaすべての
bhūti繁栄・存在
kṛtaなされた
prabhāvam力・威力
śrīḥ恩寵
astuあれ
me私に
jagati世界において
mātuḥ母の
anugrahaḥ恩寵
syātあれかし
kanaka黄金
dhārā流れ
stavam讃歌
īśvarim女神に
ādiśantaḥ授けた

完全逐語対応訳

善き知性をもつ人々の心の中に、
蓮華の御足の一対を宿し、
繁栄をもたらし、
あらゆる存在の力の源となる女神。

世界の母なるその女神の恩寵が、
私にありますように。

その女神が、
黄金の流れの讃歌を授けたまうのである。


第18偈

原文(IAST)

ambhoja-netrāṁ karuṇā-nidhānam ādyāṁ  
ambhoja-yonim anuśīlitam ādyam īśīm  
śrīr astu me sakala-sampad-abhīṣṭa-dātrī  
kanakadhārā-stavam īśvarim ādiśantaḥ

語義(逐語)

サンスクリット語義
ambhoja
netrām眼をもつ
karuṇā慈悲
nidhānam宝蔵
ādyām原初の
ambhoja-yoniṁ蓮より生まれた(ブラフマー)
anuśīlitam崇敬される
ādyam最初の
īśīm女主
śrīḥ恩寵
astuあれ
me私に
sakalaすべての
sampat繁栄
abhīṣṭa願われる
dātrī与える者
kanaka黄金
dhārā流れ
stavam讃歌
īśvarim女神に
ādiśantaḥ授けた

完全逐語対応訳

蓮華の眼をもち、
慈悲を宝蔵とする原初の女神、
蓮より生まれた者(ブラフマー)にも崇敬される、
最初の女主である女神。

あらゆる繁栄と、
望まれるものを与えるその女神の恩寵が、
私にありますように。

その女神が、
黄金の流れの讃歌を授けたまうのである。

第19偈

原文(IAST)

bhāva-arthasiddhi-karaṇīṁ bhava-roga-hartrīm  
bhaktyā namāmi satataṁ jagad-eka-mātaram  
śrīr astu me śubha-karī karuṇā-prasannā  
kanakadhārā-stavam īśvarim ādiśantaḥ

語義(逐語)

サンスクリット語義
bhāva心の状態・意図
artha目的・利益
siddhi成就
karaṇīmもたらす者
bhava輪廻・生存
roga
hartrīm取り除く者
bhaktyā信愛によって
namāmi礼拝する
satatam常に
jagat世界
eka唯一の
mātaram母を
śrīḥ恩寵・繁栄
astuあれ
me私に
śubha-karī吉祥をもたらす
karuṇā慈悲
prasannā満ち足りた・和らいだ
kanaka黄金
dhārā流れ
stavam讃歌
īśvarim女神に
ādiśantaḥ授けた

完全逐語対応訳

心に思う目的と利益の成就をもたらし、
生存(輪廻)の病を取り除く女神、
私は信愛をもって、
世界における唯一の母なるその女神を、
常に礼拝する。

慈悲に満ち、
吉祥をもたらすその女神の恩寵が、
私にありますように。

その女神が、
黄金の流れの讃歌を授けたまうのである。


第20偈

原文(IAST)

kalyāṇa-dāṁ kamala-locana-pūjitāṅghrim  
kāmādi-doṣa-haraṇīṁ varadāna-dakṣām  
śrīr astu me bhuvana-mātur anugrahaḥ syāt  
kanakadhārā-stavam īśvarim ādiśantaḥ

語義(逐語)

サンスクリット語義
kalyāṇa-dām吉祥を与える者
kamala
locana
pūjita崇拝された
aṅghrim足をもつ
kāma-ādi欲望など
doṣa欠点・煩悩
haraṇīm取り除く者
vara恵み
dāna授与
dakṣām巧みな
śrīḥ恩寵
astuあれ
me私に
bhuvana世界
mātuḥ母の
anugrahaḥ恩寵
syātあれかし
kanaka黄金
dhārā流れ
stavam讃歌
īśvarim女神に
ādiśantaḥ授けた

完全逐語対応訳

吉祥を与え、
蓮華の眼をもつ者たちに崇拝される御足を備え、
欲望などの煩悩を取り除き、
恩恵を授けることに巧みな女神。

世界の母なるその女神の恩寵が、
私にありますように。

その女神が、
黄金の流れの讃歌を授けたまうのである。


第21偈

原文(IAST)

sarveśvarīṁ śaraṇyaṁ sarva-sampat-pradāyinīm  
sarva-duḥkha-harāṁ devīṁ namāmi śrī-mahālakṣmīm  
śrīr astu me karuṇayā bhava-sāgara-tārī  
kanakadhārā-stavam īśvarim ādiśantaḥ

語義(逐語)

サンスクリット語義
sarva-īśvarīmすべての主なる女神
śaraṇyam帰依処
sarvaすべての
sampat繁栄
pradāyinīm与える者
sarvaすべての
duḥkha
harām取り除く者
devīm女神を
namāmi礼拝する
śrī-mahālakṣmīm偉大なるラクシュミー女神
śrīḥ恩寵
astuあれ
me私に
karuṇayā慈悲によって
bhava輪廻
sāgara
tārī渡す者
kanaka黄金
dhārā流れ
stavam讃歌
īśvarim女神に
ādiśantaḥ授けた

完全逐語対応訳

すべての主であり、
帰依すべき拠り所であり、
あらゆる繁栄を与え、
すべての苦を取り除く女神、
偉大なるラクシュミー女神を、
私は礼拝する。

慈悲によって、
輪廻という海を渡らせるその女神の恩寵が、
私にありますように。

その女神が、
黄金の流れの讃歌を授けたまうのである。

第22偈(結偈)

原文(IAST)

stotraṁ yat etat kanakadhārā-nāma  
tri-kālaṁ yaḥ paṭhati sadyaḥ  
tasya aśeṣaṁ dhana-dhānya-sampat  
bhavet sadā śrī-kṛpā-prasādāt

語義(逐語)

サンスクリット語義
stotram讃歌
yatこの
etatこれ
kanaka-dhārā-nāmaカナカダーラという名の
tri-kālam三時に(朝・昼・夕)
yaḥ~する者
paṭhati誦する
sadyaḥ直ちに
tasyaその者の
aśeṣam余すところなく
dhana
dhānya穀物
sampat繁栄
bhavet生じる
sadā常に
śrīシュリー女神
kṛpā慈悲
prasādāt恩寵によって

完全逐語対応訳

この「カナカダーラ」と名づけられた讃歌を、
三時(朝・昼・夕)に誦する者には、
その者にとって、
財と穀物と繁栄が、
余すところなく、
常に生じるであろう。

それは、
シュリー女神の慈悲と恩寵によってである。

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